基本知識

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基本知識

緊急避妊薬 

緊急避妊薬は、(モーニング)アフターピルとも呼ばれます。
避妊が十分でなかった性交のあと、72時間以内に飲むことで、高い確率で妊娠を回避することに役立ちます。日本では、緊急避妊薬の入手に医師の処方箋(しょほうせん)が必要です。また保険が適用されないため、自費で約6,000〜20,000円かかります(医療機関によって費用が異なります)。

緊急避妊薬は、性交後できるだけ早く飲むほど、妊娠を回避できる確率が高くなります。また、安全性が高く、医学的管理下におく必要性がないことから、海外の多くの国では医師の処方箋を必要とすることなく、薬局などで緊急避妊薬を購入することができます。

2022年3月時点、日本では、緊急避妊薬を薬局で提供できるように議論が進められています。

避妊・家族計画

避妊とは、性交のときに妊娠を予防する方法のことです。
家族計画とは、避妊を含めて、「妊娠をする・しない、妊娠をするならいつ・何人子どもをもつか」といったライフプランを表します。

日本でおもに使われている避妊法の男性用コンドームは、コンビニや薬局で入手でき、避妊だけでなく性感染症の予防にも役立つものですが、性交の途中でコンドームが破れたり外れたりするトラブルがおこることがあります。コンドームよりも避妊効果が高い方法として、経口避妊薬(低用量ピル)や子宮内避妊具があります。しかし、これらは産婦人科などを受診する必要があり、避妊目的では保険が適用されないため、物理的・経済的・心理的な負担があると考えられます。

海外では避妊法として、皮下インプラント・避妊注射・避妊腟リング・ペッサリー・避妊パッチ・女性用コンドームなどがあります。日本ではこれらの避妊法が未承認、または入手困難であり、避妊法の選択肢が少ないことが課題です。

中絶・流産

中絶

人工妊娠中絶とは、妊娠を中断し、終了することです。
日本では、母体保護法に基づき、一定の条件のもと妊娠21週6日までに行われています。

2022年3月時点、日本ではおもに手術(掻爬法、電動吸引法、手動真空吸引法)によって中絶が行われています。海外の多くの国で使用されている安全な薬剤による中絶(いわゆる経口中絶薬)は認可されていません。また、日本では中絶を行う際に配偶者の同意が必要であることから、本人の同意だけでは中絶ができない状況が発生しています。

安全でない中絶は、女性の心身の健康に影響を与え、ときに命にかかわることもあります。安全な中絶が受けられることは、女性の健康と権利を守ります。 

流産

流産とは、妊娠21週6日(胎児が子宮の外では生存することが難しい週数)までに胎児の心拍が止まること、もしくは腹痛や出血が起きて子宮の外に出ることです。
子宮のなかに胎児などがとどまっている場合は、日本では自然に出るのを待つか、中絶と同じ手術などの処置を受けることになります。一方、海外の多くの国では経口中絶薬(2022年3月現在は日本では未承認)を選択することもできます。

リプロダクティブライツ

リプロダクティブライツとは、生まれたときから全ての人が持っている人権の一つです。
性や生殖(妊娠・出産・避妊・中絶など)に関するすべてにおいて、誰からも強要されることなく、本人の意思が尊重され、自分自身で決めることができるという権利を意味します。

また、私たち一人ひとりが性と生殖に関することを自分で決めるために、信頼できる情報や必要なサービスを受ける権利を持っています。